Disorder effects on the origin of high-order harmonic generation in solids

常次研D1の鎮西です。新しい論文が出版されました。
乱れのある固体における高次高調波発生に関する理論研究です。

高強度レーザーを物質に照射したとき入射周波数の整数倍の周波数を持つ出力光が発生する現象を高次高調波発生(HHG)と呼びます。これは典型的な非線形現象であり、固体でのHHG発見以降、その発生メカニズムや性質が活発に研究されています。
この研究では、固体HHGにおける乱れの効果を調べることにより、乱れた固体でのHHGの起源は、固体中電子のコヒーレントなポテンシャル散乱とインコヒーレントなポテンシャル散乱の2つであることを明らかにしました。乱れが弱いときはコヒーレントな散乱が、乱れが強いときはインコヒーレントな散乱が支配的です。
つまり固体HHGにおいて結晶の周期性は重要な役割を果たしており、光に誘起されたコヒーレントなブロッホ状態のダイナミクスが大きなHHG生み出します。

共同研究者である助教の池田さんには、HHGのことも含め色々と教えていただきました、ありがとうございます。
この仕事は、研究開始からarXiv版までは早かったのですが、そこから出版までかなり苦労した研究です。最終的にOpen access(誰でも無料で見れる)のPhysical Review Research誌に掲載されましたので、ぜひご覧ください!

Koki Chinzei, and Tatsuhuko N Ikeda,
Disorder effects on the origin of high-order harmonic generation in solids
Phys. Rev. Research 2, 013033 (2020)


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