学生優秀発表賞!!!

D2の鎮西です。約半年ぶりの更新です。

この度、日本物理学会の領域1で学生優秀発表賞をいただきました!
下の(引きつった)笑顔の写真は、受賞後の喜びの記念撮影です


 

研究室見学

大学院進学を考える季節です。
ただ、現在の状況では研究室に自ら赴いて情報収集することもままならず、院進しようと考えている人の多くは困っていると思います。

ということで、常次研に興味のある方は以下のアドレスに!
池田助教 : tikeda@issp.u-tokyo.ac.jp
些細な質問でも良いですし、希望者がいればZoom会が開催されるかも。
気軽にご連絡ください!

Zoomジャーナルクラブ

Zoomジャーナルクラブの様子

今日の発表者は助教の池田さん。みんなあまり詳しくない機械学習+量子コンピュータの論文紹介でした。



Zoomになったことによって多少の不便さはあるものの、子供が急に会議に乱入してきたりとZoomならではの面白さを味わうことができます笑。

Time Crystals Protected by Floquet Dynamical Symmetry in Hubbard Models

D2の鎮西です。
コロナ騒動でブログが少し遅くなってしまいましたが、3月末にarXivへ投稿した論文をご紹介します。

言うまでもありませんが、物理学において対称性は非常に重要な役割を果たしています。それは非平衡系においても同様で、非平衡ダイナミクスや非平衡相転移など様々な現象が対称性に基づいて統一的に理解されてきました。しかし最近、イギリスのグループによって、通常の意味では対称性ではないが系の非平衡な振る舞いを特徴付けるunconventionalな動的対称性が提案されました[https://www.nature.com/articles/s41467-019-09757-y]。その動的対称性を持つ系は、長時間経っても熱平衡化せず、時間結晶状態が実現します。

今回の研究では、そのunconventionalな動的対称性を時間周期的に駆動された量子系(フロケ系)に拡張した「フロケ動的対称性」を提案し、その対称性によって二種類の異なる時間結晶状態が実現することを明らかにしました。特にそのうち片方は、今まで多く議論されてきた時間結晶状態とは異なり、二つの時間スケールによって特徴付けられる準周期的な時間発展を示します。またさらに、円偏光で駆動されたハバード模型が「フロケ動的対称性」を持つことを明らかにし、開放系・孤立系の両方で時間結晶状態が実現することを実証しました。開放系では散逸によって、孤立系では量子多体系の熱平衡化によって時間結晶状態が実現・安定化しています。

この研究は、開始から終了まで約1ヶ月という非常にスピード感のあるものでした。さらに実は、この論文を書いている途中で同じようなことに言及しているarXiv論文を発見してしまい、そこから池田さんと二人がかりで論文を2,3日で仕上げるという荒技をやった論文です。実働期間は短いですが、僕らが今まで考えてきたことが色々と詰まっている論文で、非常に面白いものに仕上がったと思っています。是非ご覧ください。

Koki Chinzei and Tatsuhiko N. Ikeda,
Time Crystals Protected by Floquet Dynamical Symmetry in Hubbard Models
https://arxiv.org/abs/2003.13315


PS
常次研ブログを見ていると僕と池田さんしかブログ投稿していませんが、他のみんなも元気に研究してます(笑)。常次研紹介ということで、去年度に出た僕と池田さん以外の論文を紹介します。

野澤くんの論文
・一次元ハバード模型における一般化流体力学の研究
https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.101.035121
・一次元XYZ模型における局所保存量に関する研究
https://arxiv.org/abs/2003.02856

深井くんの論文
・量子可積分系での一般化ギブス分布に関する研究
https://arxiv.org/abs/2003.00022


 今日の研究室風景



お菓子を食べながら、
RSSの使い方講座(by 川原)

最近やっている研究の話(by 田中)

まったりの日常です〜



Multivalley Free Energy Landscape and the Origin of Stripe and Quasi-Stripe CDW Structures in Monolayer MX2 Compounds

池田です。新しい論文が出版されました!

遷移金属ダイカルコゲナイドは層状の物質で、様々な電荷密度波(CDW)状態に相転移します。平衡状態として存在するいくつかのCDW状態を再現するランダウ理論は、斯波先生らによって発展させられて来ましたが、準安定状態として現れる(準)ストライプCDWについては完全には理解されていませんでした。今回我々は、斯波先生らのランダウ理論を詳細に再検討した結果、(準)ストライプCDWが実はこの理論に内包されていることを発見しました。

この研究は北大の丹田研究室(実験)との共同研究で、実験に関することも色々と勉強になりました。主に対称性だけで決まるランダウ理論が豊かな構造を持つのがちょっとおもしろいです。あと、今まで理想化されまくったモデルをやってきた自分としては、すごく物質寄りの研究をして、いい思い出&勉強になりました。

ぜひご覧ください!

K. Nakatsugawa, S. Tanda, and Tatsuhiko N. Ikeda
Multivalley Free Energy Landscape and the Origin of Stripe and Quasi-Stripe CDW Structures in Monolayer MX2 Compounds
Sci Rep 10, 1239 (2020)

Disorder effects on the origin of high-order harmonic generation in solids

常次研D1の鎮西です。新しい論文が出版されました。
乱れのある固体における高次高調波発生に関する理論研究です。

高強度レーザーを物質に照射したとき入射周波数の整数倍の周波数を持つ出力光が発生する現象を高次高調波発生(HHG)と呼びます。これは典型的な非線形現象であり、固体でのHHG発見以降、その発生メカニズムや性質が活発に研究されています。
この研究では、固体HHGにおける乱れの効果を調べることにより、乱れた固体でのHHGの起源は、固体中電子のコヒーレントなポテンシャル散乱とインコヒーレントなポテンシャル散乱の2つであることを明らかにしました。乱れが弱いときはコヒーレントな散乱が、乱れが強いときはインコヒーレントな散乱が支配的です。
つまり固体HHGにおいて結晶の周期性は重要な役割を果たしており、光に誘起されたコヒーレントなブロッホ状態のダイナミクスが大きなHHG生み出します。

共同研究者である助教の池田さんには、HHGのことも含め色々と教えていただきました、ありがとうございます。
この仕事は、研究開始からarXiv版までは早かったのですが、そこから出版までかなり苦労した研究です。最終的にOpen access(誰でも無料で見れる)のPhysical Review Research誌に掲載されましたので、ぜひご覧ください!

Koki Chinzei, and Tatsuhuko N Ikeda,
Disorder effects on the origin of high-order harmonic generation in solids
Phys. Rev. Research 2, 013033 (2020)


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